賃貸仲介の転職
賃貸仲介の仕事とは?
不動産会社とえいば駅前の賃貸物件の店舗のイメージが強いかもしれません。一般の方が最初に不動産会社に触れる機会が多いのも賃賃貸仲介の営業担当者だと思います。
その賃貸仲介の仕事に興味を持った方へ、普段の業務内容をご紹介します。また、既に賃貸仲介業務に就かれている方には収入アップを図るキャリアアップの方法もご提案します。
1.賃貸仲介って何で儲けるの?
賃貸仲介の業務内容について簡単に説明していきます。
1-1.賃貸物件の入居者=借りてくれる人を探すのがミッション
賃貸仲介の一番のミッションは賃貸物件の空き室を借りてくれる人を探す事です。
アパートやマンションには通常大家さんがいます。不動産会社では一般的には大家さんの事をオーナーさんと言います。
この賃貸物件の所有者であるオーナーさんに代わって、入居希望者を探してお部屋に案内をして契約をしてもらうのが一番重要な仕事です。
その他にも賃貸仲介に絡む業務として、他社が仲介する内見の鍵の手配や、管理物件の契約書の作成、保険手続きや引っ越しの相談等、多岐に渡る業務が発生します。
アットホームやSUUMO等の物件ポータルサイトに掲載されている物件の間取り図、や室内写真も不動産賃貸仲介業者が作成している事が多いです。
このように表に出てこない裏方業務もたくさんあります。
1-2.借主が契約してくれなければ報酬=仲介手数料は発生しない
賃貸仲介は入居者が契約してくれた場合に仲介手数料を入居者とオーナーからもらう事ができます。それが報酬になります。
賃貸物件の賃貸借契約が成立した場合には入居者とオーナーの双方から仲介手数料をもらえることになりますが、相互からもえる仲介手数料は最大で「家賃の1ヶ月分+消費税」というルールが定められています。それ以上はもらってはいけない事になっています。
また、仲介業務を行う不動産会社には、「元付業者」と「客付業者」の2種類があります。オーナーから入居者の募集を直接依頼されている業者を元付業者といいます。
これに対して、借主の依頼により物件を探して賃貸契約を結ぶ業者を客付業者といいます。元付業者が客付業務の両方を行う事もあります。
仲介業務の売上は仲介手数料が中心になりますが、この他に元付業者はオーナーからは物件に入居者を集めるための広告費なども受け取る事があります。
客付業者が入居者を見つけた場合は、物件ごとの取り決めに応じて仲介手数料を分配します。
仲介手数料は借主も払いますが、物件によってはオーナーが仲介手数料を全額負担することもあります。入居者が決まらない期間の長期化している部屋は仲介手数料を無料にして早く部屋に借主を住まわせたいと考えるため、オーナーが仲介手数料を負担するケースがこのケースに該当します。
オーナーとの管理物件の契約優位な立場で考えている賃貸仲介会社は入居者が仲介手数料を負担する特約で契約をしている会社もあります。
仲介業務は基本的にはチラシやインターネットを見て来店・連絡してきた顧客に対して営業するため、基本的に飛び込み営業やテレアポは行いません。
その点は不動産売買の営業よりは比較的受け身な営業姿勢で対応できるため、積極的な営業が苦手な人にも向いている仕事かもしれません。
賃貸仲介の具体的な仕事内容
賃貸仲介の仕事内容を簡単にご紹介します。
2-1.物件確認と賃貸物件のネット掲載
入居者を見つけるにはインターネット経由で行うケースが多いです。アットホームやSUUMO等のポータルサイトからの問い合わせに対応して案内するケースです。
そのポータルサイトに掲載する物件ですが、自社で管理している物件とそうではない物件とに別れます。自社で管理している物件で直接入居者を見つけることを媒介と言います。
仲介の場合は通常は自社管理物件ではない物件を紹介する事を指しますので、その場合は不動産会社間の情報ポータルサイトであるレインズを見て物件を探します。
良い物件が見つかったら物件元の不動産会社に電話をして掲載承諾をもらえればポータルサイトへの掲載が可能です。この作業を物件確認といいます。
物件確認を地道に行って多くの物件をポータルサイトに掲載できれば必然的に問合せも増えてきます。まずは入居者を見つけるにはポータルサイトで賃貸物件を多く掲載していくのが最短のルートになります。
最近では店頭の物件募集チラシを見て飛び込みで入ってくるお客さんは減少傾向にあります。対して、事前にインターネットで賃貸物件を調べたうえで予約をして訪問してくるお客さんが増えています。そういった行動の変化がポータルサイト主流の賃貸募集の流れへと変化しています。
ポータルサイトに登録するデータは以下のようなものがあります。
- 物件の写真
- 家賃と管理費
- 敷金と礼金
- 間取りと専有面積
- 築年数
- 所在地・駅からの距離
- 設備(風呂トイレ別等)
このような基本データの中でも重要なのが写真です。インターネット上では外観や室内などの写真で判断されるケースも多いので、写真や間取り図等の資料にはこだわっているケースが増えてきました。
また、最近ではインスタグラムに物件情報を掲載して集客を図る不動産会社も増えています。インスタグラムには文字情報はあまり重要視されませんので、写真の写りや動画でのリール等の品質でアクセス数が変わるため、以前にもまして画像や動画での伝えるスキルが問われるようになってきています。
2-2.ポータルサイト対応
ポータルサイトや自社のホームページなどを見たお客様からの問い合わせがあった際に順次対応をしていきます。
気になる物件を問い合わせてきたお客様がいた際には来店の予約をしてもらい、一度来店してもらうケースが多いです。その際にその物件だけではなく、条件の近い物件も抽出して併せて案内できるようにしておくのが通常の進め方です。
2-3.来客対応
来店されたお客様に対応し、希望する物件の条件をヒアリングしたうえで希望に合う物件を探します。ヒアリングに関してはヒアリングシート等に記入して頂くケースと直接聞き取りながら要望を伺うケースが多いです。
ヒアリング内容としては主だったところとしては以下のような内容があります。
- 間取り・賃料
- 物件の所在地
- 勤務先・年収
- 家族構成
- 駅からの希望距離
- 引っ越しの希望時期
- 必須設備
- 築年数
などです。人により優先度が異なりますので要望の優劣をヒアリングしつつ判断する事も重要です。
2-4.鍵の手配と内見
お客様が内見をしたい希望物件が決まった後は鍵の確認をオーナーや元付業者に行います。基本的には現地まで内見に同行します。移動はよほど距離が近くない限りは車での移動になりますので、賃貸仲介の営業は運転スキルが必須となるケースが多いです。
物件の内見をするにあたり物件の基本情報だけでなく、近隣環境やお客様が優先度を高くされている事項も説明をします。例えば定期的に通院されている方であれば病院までの距離や、主婦の方であれば学校やスーパーまでの距離などのローカル情報です。
そういった何気ない気遣いからお客様と仲良くなり契約に結び付く事も多いです。
2-5.審査・契約
内見した物件の中で気に入った物件があれば、申込みをしてもらいます。申込み=契約ではなく、その前に入居審査を行います。入居審査を経て契約を締結します。
2-5-1.申込受付
所定の申込書に必要事項を記入し、運転免許証等の身分を証明する書類を提示してもらいます。収入を証明する書類として源泉徴収票等や保証人の情報も併せて提出してもらうことも多いです。
入居審査先は基本的にはオーナーですが、最近では保証会社をつけるケースが多いため、保証会社の審査とオーナーの審査の二重で与信を調べる事も多いです。
その場合は保証会社の規定の書類に記載をしてもらいます。
2-5-2.入居審査
入居申込みを受けた後、審査を行います。保証会社の審査は過去にクレジットカードや携帯料金の滞納等があると審査に通らないケースもあるようですが、具体的な審査の否決理由に関しては教えてはもらえない事がほとんどです。
そのため、保証会社から否決された場合は残念ながら入居審査はそこで止まってしまうケースが多いです。保証会社の審査が通った場合でも最終的に入居の可否を判断するのはオーナーになりますので、最終的にはオーナーが承諾をしなければ契約には進めません。
審査を適当に進めてしまうと後に家賃滞納や近隣トラブルを起こしたりすることにもなりかねません。そのため、入居させても問題ない人であるかどうかを判断する必要があります。
主な審査項目は、勤務先・年収・連帯保証人の有無・本人の雰囲気などがあげられます。特に問題が無い場合はすんなり契約をすることになりますが、何か問題がある場合は最終的にはそのリスクをオーナーが負うか否かの判断になります。
2-6.賃貸仲介の1日の流れ
実際に賃貸仲介営業として仕事をする場合の一日の流れをご紹介します。あくまで賃貸仲介専門の営業の仕事になりますので、小さい不動産会社ではこれ以外にも管理業務を掛け持って仕事をしていることも多いです。
- 朝礼、店舗内外の清掃
- メールやWEBでの問い合わせ対応
- 物件確認の電話、ポータル掲載
- 物件写真撮影
- 午後:来客対応
- 物件内見
- 夕方:契約・重説対応
- 翌日の契約書類作成
- 終礼、書類整理
外出もしつつ、事務作業や接客業務もあるため多岐にバランス感覚をもって仕事を進めていく必要があります。
2-7.賃貸仲介と売買仲介どちらが楽?
賃貸仲介と売買仲介それぞれにつらい仕事はありますが、契約のしやすさと集客のしやすさでいえば賃貸仲介の方が楽です。また、仕事内容自体も比較的短期間で覚えやすい傾向にあります。
ノルマも売買仲介に比べるとそれほど厳しいノルマを課せられる事はない傾向にあります。ただし、基本的には土日が休めない仕事になりますので、その点は覚悟が必要になります。
勤務時間も路面店を持っているケースが多いため閉店時間の1時間後くらいに退社になるケースが多いです。そのため20時前後まで毎日働く会社も多いです。
これが売買仲介の場合は業態にもよりますが、物件の売主側の仲介である売り仲介であれば、土日休みの会社もあります。勤務時間も結果を出していればあまり長時間の残業をしない人もいます。
また、賃貸仲介をとりあえず経験してから売買仲介に移るキャリアプランはあまりおすすめしません。業務内容が全く異なるため、賃貸仲介で仕事を覚えても、売買仲介ではあまりアドバンテージがありません。
また、専門的に持っている知識も異なります。賃貸仲介のみ経験している不動産営業と売買仲介のみ経験している不動産営業の二人に会話をさせたら同じ業界にいるとは思えないくらいそれぞれに持っている知識が異なります。
そのため先々のキャリアプランも考えつつ、楽か否かだけではない価値観で専門分野を決めることをおすすめします。
賃貸仲介の平均年収
不動産業界全体の平均年収が420万円前後と言われています。これには不動産事務職等の比較的年収の低い職種の方も全て含めているため実態はもう少し高いと思われます。
賃貸仲介の場合は売買仲介と異なり歩合給がそれほど高額にはならない傾向があります。
売買の場合は1件当たりの歩合が10万円~30万円程度つくこともありますが、賃貸の場合は1件成約あたりの歩合給が多くても1万円~2万円程度であると推定されます。
そうなると、平均の月収は基本給が25万円前後である場合、毎月10件前後を契約したとして歩合を加算しても30万円~45万円台の層が最も多いと想定されます。
そのため、年収であれば、平均年収は360万円〜550万円程度が多いと推定されます。給与システムは「固定給+歩合」を採用している企業が多く、人材の募集条件を見ると「基本給20万円 + インセンティブ」といった記載をよく見かけます。
賃貸仲介で年収を上げるには一つは数をこなす事です。大量に契約件数をこなせば必然的に歩合額があがるため、年収はあがります。ただし、限界がありますので、もう一つの方法としては都心部の高級物件を中心に扱う賃貸仲介会社に転職する方法もあります。
また、歩合の計算方法も会社によってさまざまな決まりがありますので、歩合の計算方法自体も自分が納得いくものであるか否かを転職時の面接等で確認しておくことが必要です。
賃貸仲介に転職するメリット・デメリット
賃貸仲介に転職するメリットとデメリットを整理します。
メリット:
収入の可能性:成果や実績に応じて報酬が変動するため、頑張り次第で収入を増やすことができるチャンスがあります。契約成立などの成果によるインセンティブやボーナスが支給されることもあります。ただし、比較的少額な歩合のためある程度の数をこなす事が必要です。
自由なスケジュール:仕事の進め方は比較的裁量をもって進められる事が多いです。外出が多いため比較的自由な時間帯で仕事ができる会社もあります。ですが、どこに行くのか事細かに報告をしないといけない会社もあるため、自由度は職場の規則にも左右はされます。
人間関係の構築:オーナーや借主とのコミュニケーションを通じて、人間関係を築くことができます。オーナーとは長期的な信頼関係を築くことで、長期的な管理契約の獲得ができる可能性が高まります。
不動産知識の習得:不動産市場に関する知識や情報収集能力が向上します。物件の評価や市場価値を理解することで、将来のキャリアアップに役立ちます。
独立性の高い仕事:一人ひとりの営業力が試されるため、自己管理や責任感が養われます。自分の仕事ぶりによって成功を手にできる独立性があります。
営業スキルの向上:賃貸仲介は営業職の側面が強いため、交渉力やコミュニケーションスキルが向上します。これらのスキルは他の分野でも活かせる場面があります。
デメリット:
厳しい競争:不動産業界は競合他社が多く、物件の供給と需要のバランスが重要な影響を与えます。競争が激しいため、賃貸の場合は引き合いとなる来店数があまり多くない会社に転職してしまうと歩合もつかず給与が上がらない可能性があります。
不定期な残業:物件の契約成立などのタイミングによっては、不定期に残業が発生することがあります。柔軟な働き方ができる反面、忙しい時期もあることを考慮する必要があります。
プレッシャー:成果に応じた報酬やターゲットの達成に向けてのプレッシャーがあります。営業職としての努力が求められる反面、不確定要素も多く、ストレスを感じることがあるかもしれません。
契約の細かな取り決め:契約書作成や交渉の際に、細かな条件や法的な事項を扱う必要があります。これらの取り決めを正確に行うためには専門知識が求められます。
マーケティング活動の重要性:物件の販促活動に力を入れる必要があります。広告やマーケティング手法にも理解を持ち、効果的なプロモーションを行うスキルが求められます。
経済動向への影響:不動産市場は経済動向に大きく左右されるため、景気の変動によって業績が変化する可能性があります。市場の変化に対応するためには柔軟な姿勢が必要です。ただし、賃貸に関しては売買程は景気に左右されない傾向にあります。
賃貸仲介に転職を考える際には、上記のメリットやデメリットをよく理解し、自身のスキルや性格とのマッチングを考慮して判断することが重要です。また、業界の動向や就業先の会社環境も事前に調査し、自分に合った転職先を選ぶことが成功への第一歩となります。
賃貸仲介に向いている人
賃貸仲介の仕事に向いている人の特徴を以下にまとめます。
- コミュニケーション能力: 賃貸仲介の仕事では、オーナーや借主と円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。物件の案内や契約交渉などで、相手の要望を理解し、適切に対応できるコミュニケーション能力が求められます。
- 営業力: 賃貸仲介は営業職の側面が強く、顧客を獲得し成約に導くためには営業力が必要です。積極的にアプローチし、物件を売り込む意欲と努力が重要です。
- 自発的な姿勢: 成功には自発的な行動が欠かせません。自ら進んで市場調査や情報収集を行い、お客様のニーズに応えるために主体的に動く姿勢が求められます。
- 忍耐力と粘り強さ: 物件の成約には時間がかかる場合もあり、挫折や厳しい競争に直面することもあります。忍耐力と粘り強さを持ち、目標達成に向けて努力し続けることが重要です。
- 不動産に興味を持つ姿勢: 不動産業界に対して興味を持ち、市場動向や法律規制の変化を追いかける姿勢が大切です。物件の特徴や価値を理解し、顧客に適切なアドバイスを提供するためには、不動産に対する熱意が必要です。
これらの特徴を持つ人は、賃貸仲介の仕事で自分のスキルやパーソナリティを活かし、成功を収めることができるでしょう。
賃貸仲介で将来的に独立をしたい人が準備すること
豊富な経験と知識の習得:
独立する前に、豊富な経験を積み、不動産業界における知識とスキルを磨くことが重要です。物件の評価や市場価値を理解し、契約書の取り決めや法的な事項に精通することが必要です。
マーケティング戦略の立案:
独立後の成功には、効果的なマーケティング戦略の立案が不可欠です。オンライン広告、SNS、ウェブサイト、パンフレットなどを駆使して、自らの仕事を宣伝し、新規顧客を獲得するための戦略を練りましょう。
法務関連の対応:
独立するにあたり、契約書の作成や法的な手続きに対応する能力が必要です。顧客との契約やトラブルの際には、法的な知識を持ちながらプロフェッショナルに対応することが大切です。
経営スキルの習得:
独立するとなると、不動産業務だけでなく、経営全般のスキルも必要になります。予算管理、スタッフの指導、効率的な業務運営など、経営スキルを磨くことで独立事業を成功させることができます。
これらの要素を考慮し、事前の準備と計画をしっかりと立てることが、賃貸仲介で独立を果たすために重要です。独立後も継続的に努力し、地道な努力と情熱を持ちながら事業を展開することが成功への道です。
賃貸仲介の転職サポート
賃貸仲介営業として転職する場合に、自分の力で良い企業を探して転職する事も当然できますが、どうしても日頃の忙しい日々の中で時間が取れない事も多いです。
その場合、エージェントを活用すると転職活動も円滑に進みます。転職エージェントは無料で利用できます。転職先の企業から紹介料が転職エージェントに支払われる仕組みになっています。転職エージェントが求人を募集している企業をピックアップしてくれます。
希望に合う求人があればその会社で面接を受けます。その後の給与交渉もエージェントが代行して行うため、精神的な負担も少なくて済みます。また、お断りしたい場合も代行して断りの連絡を入れてくれます。
転職に際して手間となる要素をできるだけ省きつつ、効率的に良い求人とめぐり合わせてくれる機能が転職エージェントにはあります。
いくつか、大手の転職エージェントサービスがありますが、当社は特に不動産業界に特化した転職エージェントサービスを提供しています。
また、不動産業界特化型の転職エージェントサービスは当社以外にもいくつかありますが、当社の場合は他社と異なり転職エージェントサービスだけを行っているわけではなく不動産業界全体に深く絡むサービスを提供している点が他社と異なります。
当社は不動産仲介事業、不動産リノベーション事業も別途社内で事業として行っています。そのため、社内に不動産業界に精通した社員が多くいます。特に未経験の方には業務内容に不安を抱える方も多くいるためこのような業界に精通したスタッフが多くいる場合は心強いアドバイザーとなります。