売買仲介の転職
売買仲介の仕事とは?
不動産売買仲介の仕事は少し整理をして説明が必要です。不動産業界の中にいる人は当たり前な情報でも、一般の人が知らない独特な決まりごとがあります。
例えば、「売り仲介」「買い仲介」の違い。「不動産売買」と「不動産販売」の違い。があります。同じ売買仲介でも立場が違うとそれぞれの役割が異なるのです。
また、売買営業と賃貸営業の違いは何なのか?売買仲介の方が一般的には年収が高いと言われている理由に関しても触れていきます。
1.「元付け」と「客付け」を知る
売買仲介は、不動産を買いたい人に合った物件を紹介し、販売することが基本です。取り扱う物件の種類は住宅だけではなく、土地や工場や倉庫等の事業用物件もあります。
売買仲介は、「売り仲介(元付け業者)」と「買い仲介(客付け業者)」とに別れます。それぞれの基本的な仕事の流れは以下のとおりです。
<売り仲介の仕事の流れ>
1.売主を探す(チラシ・紹介・一括査定サイト等)
2.物件の査定を実施
3.売主と媒介契約を締結
4.購入希望者を探す(チラシ・Web・他不動産会社協力等)
5.契約締結
6.引き渡し
<買い仲介の仕事の流れ>
1.購入希望者の集客(チラシ・Web・紹介など)
2.購入希望者に対して物件を選定・案内
3.売買交渉
4.ローンの紹介・手続き(必要な場合)
5.重要事項説明
6.契約締結
7.引き渡し
全体の流れはこのようになりますが、日頃の業務としては下記のような作業もあります。
・チラシや撮影の下準備
・広告用の物件撮影
・ポスティング
・案内予定の物件の下見
・撮影した物件の入力作業
・アポ取り/追客(メール、電話など)
・案内用資料の作成
・見込み客のフォロー
売り仲介と買い仲介を並べて説明してもピンとこない方もいるかもしれません。もっとわかりやすく説明すると、「昔からある地元の不動産屋さん」は「売り仲介」をメインに事業を行っているケースが多いです。
売り仲介であれば、知り合いや昔からの取引先から販売用物件を預り、それをレインズに掲載するだけであとは販売活動は買い仲介の不動産会社がやってくれます。販売が成立すれば片手仲介の手数料が昔からある地元の不動産屋さんの手元に入ります。
対して、買い仲介は忙しそうに物件の前にノボリを立ててオープンルームをやって、チラシをまいて集客をします。一生懸命に売るために営業努力をします。
それなら、みんな売り仲介をやりたがるのではないか?という疑問を持たれるかと思います。確かに売り仲介は販売物件を預かる事ができれば成立するビジネスですが、そこに高いハードルがあります。
一般的には不動産を売りたい場合には「昔からの知り合いの不動産屋さん」か「大手の不動産屋さん」のどちらかに相談します。要は名も知らない不動産屋さんの出番があまりないのです。
そのため、売り仲介はやりたくてもできないというのが実際のところです。ですが、買い仲介であれば良い物件であれば会社の規模に関係なく売る事ができます。
なぜなら、不動産は世界に一つだけの商材だからです。この物件はこの不動産会社からしか買えないと顧客が思えば、大手の不動産会社ではなくても売る事ができます。
そういったそれぞれの立ち位置ごとに売り仲介と買い仲介に不動産取引は別れています。
また、売り仲介と買い仲介を客付けと元付に分けて説明するケースもあります。
元付け(売り仲介)
元付け不動産は、土地や住宅を売りたい人すなわち売主を見つけ、売却時に手数料を得るというビジネスモデルになります。
客付け不動産会社と連係し、売主からのみの手数料を得る場合は「片手取引」、自社で元付だけではなく客付けもやる全ての取引を一社で完結させ、売主と買主の両方から手数料を得る場合は「両手取引」と言います。
客付け(買い仲介)
客付け不動産は土地や住宅を買いたい人すなわち買主を見つけ、購入時に手数料を得るというビジネスモデルになります。買主からのみの手数料を得ることとなるため、この収益化構造のことを「片手取引」といいます。
買主をポータルサイトやチラシなどで集客し、希望に合った物件を案内することが主な業務となります。希望の物件が見つかり次第、売主から依頼を受けている「元付け」の不動産会社に案内するまでが一連の流れとなります。
売主物件の例外
客付け不動産会社は何を売っても片手仲介しかもらえないわけではありません。不動産会社が所有する物件を売る場合は売主が不動産会社となるため、間に元付けが存在しません。
その場合は売主である不動産会社からも仲介手数料をもらえるため両手取引が成立します。最近このパターンで多いのは中古マンションの買取再販を行っている不動産会社が売主になっているケースです。
不動産売買仲介と不動産販売?
不動産売買仲介とは自社で物件を保有することなく、買主が不動産を見つけたり売主が買い手を見つけることをサポートし、契約の締結を円滑化する仕事です。
一方で不動産販売会社では、自社で所有する物件を買主に売却する仕事を行います。
すなわち、自社で買主が購入する物件を保有しているかしていないかという点が両者の相違点だと考えるのが最もシンプルです。
また、不動産販売会社はデベロッパーやハウスメーカーなどが建てた物件を扱っており、組織としてもデベロッパーの子会社であったり、事業部として内包されているケースも多いです。
不動産売買仲介で扱われる物件が中古が多いのに対し、不動産販売ではデベロッパーやハウスメーカーの物件が多いため新築物件が多く扱われるといった違いもあります。
一日の仕事の流れ
不動産売買の業務内容は、物件情報の掲載や物件の売却状況の確認、契約書関係の作成といった事務系の作業と、電話や来客対応、内見の案内などお客様とかかわる営業活動の2種類に分けられます。
営業事務のいる会社では後者の営業活動の比重が高いです。また一般的にお客さんと接する機会が多くなる週末は、平日よりも忙しくなります。
売買営業ではお客様の意思決定も時間がかかるため、賃貸営業のように案内が1日で終わって即契約という事はあまりありません。必然的に営業に要する時間は賃貸営業に比べて長くなります。
特に賃貸同様に転勤や卒業・入学などのが多い3~4月などは繁忙期であり、残業時間も長くなる傾向にあります。特に3月と9月は積極的に販売をする時期であることが多いです。
一方、年間を通して閑散期となるのが夏の7~8月です。お盆休みを長期的にとる会社も多いため営業日数が少ない事も影響します。
勤務時間は9時30分~10時頃に出社し19時頃に退社とする不動産会社が多いですが、繁忙期には顧客が多くなかなか事務処理が追付かず残業となる場合もあります。
なお、このスケジュールには記載しておりませんが、契約の締結があると時間がかかります。また突発的な問題も発生するので、売買仲介の一日の行動は忙しいといえるでしょう。
売買仲介の平均年収
不動産業界全体の平均年収が420万円前後と言われています。これには不動産事務職等の比較的年収の低い職種の方も全て含めているため実態はもう少し高いと思われます。
売買仲介の場合は基本給に歩合給の組み合わせで給与が出るケースが多いです。売買の場合は1件当たりの歩合が10万円~30万円程度つくこともあります。基本的には仲介手数料売上のうち10%~20%が歩合給として出ます。
平均の月収は基本給が25万円前後である場合、毎月1件~2件前後を契約が出来れば歩合を加算して40万円~50万円台の給与になります。
そのため、年収であれば、平均年収は450万円〜550万円程度が多いと推定されます。給与システムは「固定給+歩合」を採用している企業が多く、人材の募集条件を見ると「基本給20万円 + インセンティブ」といった記載をよく見かけます。
売買仲介で年収を上げるには一つは数をこなす事です。大量に契約件数をこなせば必然的に歩合額があがるため、年収はあがります。
ただし、限界がありますので、もう一つの方法としては投資物件や高級物件を中心に扱う売買仲介会社に転職する方法もあります。
また、歩合の計算方法も会社によってさまざまな決まりがありますので、歩合の計算方法自体も自分が納得いくものであるか否かを転職時の面接等で確認しておくことが必要です。
売買仲介に転職するメリット・デメリット
売買仲介に転職するメリットとデメリットを整理します。
【メリット】
収入の可能性:成果や実績に応じて報酬が変動するため、頑張り次第で収入を増やすことができるチャンスがあります。契約成立などの成果によるインセンティブやボーナスが支給されることもあります。
ただし、1件の売買契約を決めるのはとても大変です。賃貸と比較した場合に契約の難易度は比較にならないくらい売買の方が難しいです。
自由なスケジュール:仕事の進め方は比較的裁量をもって進められる事が多いです。外出が多いため比較的自由な時間帯で仕事ができる会社もあります。ですが、どこに行くのか事細かに報告をしないといけない会社もあるため、自由度は職場の規則にも左右はされます。
人間関係の構築:賃貸と異なり顧客との長期的なコミュニケーションの確立というよりも契約の成立が優先されがちです。
ですが、顧客と良いコミュニケーションを取って契約をすることで、別の顧客を紹介してもらったり、投資物件に関しては複数回物件を購入してもらえるケースもあります。また、契約後のクレームが自身の仕事の足を引っ張る事にもなりかねるため、丁寧な顧客対応は求められます。
不動産知識の習得:不動産市場に関する知識や情報収集能力が向上します。物件の評価や市場価値を理解することで、将来のキャリアアップに役立ちます。
独立性の高い仕事:一人ひとりの営業力が試されるため、自己管理や責任感が養われます。自分の仕事ぶりによって成功を手にできる独立性があります。
営業スキルの向上:売買仲介は賃貸仲介以上に営業職の側面が強いため、交渉力やコミュニケーションスキルが向上します。これらのスキルは他の分野でも活かせる場面があります。
【デメリット】
厳しい競争:不動産業界は競合他社が多く、物件の供給と需要のバランスが重要な影響を与えます。競争が激しいため、売買の場合は引き合いとなる来店数があまり多くない会社に転職してしまうと歩合もつかず給与が上がらない可能性があります。
不定期な残業:物件の契約成立などのタイミングによっては、不定期に残業が発生することがあります。柔軟な働き方ができる反面、忙しい時期もあることを考慮する必要があります。
プレッシャー:成果に応じた報酬やターゲットの達成に向けてのプレッシャーがあります。営業職としての努力が求められる反面、不確定要素も多く、ストレスを感じることがあるかもしれません。
特に売買営業は賃貸営業と異なり契約までの難易度が高いため成果に対するプレッシャーは一定程度覚悟する必要があります。
契約の細かな取り決め:契約書作成や交渉の際に、細かな条件や法的な事項を扱う必要があります。これらの取り決めを正確に行うためには専門知識が求められます。
マーケティング活動の重要性:物件の販促活動に力を入れる必要があります。広告やマーケティング手法にも理解を持ち、効果的なプロモーションを行うスキルが求められます。
経済動向への影響:不動産市場は経済動向に大きく左右されるため、景気の変動によって業績が変化する可能性があります。市場の変化に対応するためには柔軟な姿勢が必要です。
売買仲介に転職を考える際には、上記のメリットやデメリットをよく理解し、自身のスキルや性格とのマッチングを考慮して判断することが重要です。また、業界の動向や就業先の会社環境も事前に調査し、自分に合った転職先を選ぶことが成功への第一歩となります。
売買仲介に向いている人
売買仲介の仕事に向いている人の特徴を以下にまとめます。
- コミュニケーション能力: 売買仲介の仕事では、オーナーや借主と円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。物件の案内や契約交渉などで、相手の要望を理解し、適切に対応できるコミュニケーション能力が求められます。
- 営業力: 売買仲介は営業職の側面が強く、顧客を獲得し成約に導くためには営業力が必要です。積極的にアプローチし、物件を売り込む意欲と努力が重要です。
- 自発的な姿勢: 成功には自発的な行動が欠かせません。自ら進んで市場調査や情報収集を行い、お客様のニーズに応えるために主体的に動く姿勢が求められます。
- 忍耐力と粘り強さ: 物件の成約には時間がかかる場合もあり、挫折や厳しい競争に直面することもあります。忍耐力と粘り強さを持ち、目標達成に向けて努力し続けることが重要です。
- 不動産に興味を持つ姿勢: 不動産業界に対して興味を持ち、市場動向や法律規制の変化を追いかける姿勢が大切です。物件の特徴や価値を理解し、顧客に適切なアドバイスを提供するためには、不動産に対する熱意が必要です。
これらの特徴を持つ人は、売買仲介の仕事で自分のスキルやパーソナリティを活かし、成功を収めることができるでしょう。
売買仲介で将来的に独立をしたい人が準備すること
豊富な経験と知識の習得:
独立する前に、豊富な経験を積み、不動産業界における知識とスキルを磨くことが重要です。物件の評価や市場価値を理解し、契約書の取り決めや法的な事項に精通することが必要です。
マーケティング戦略の立案:
独立後の成功には、効果的なマーケティング戦略の立案が不可欠です。オンライン広告、SNS、ウェブサイト、パンフレットなどを駆使して、自らの仕事を宣伝し、新規顧客を獲得するための戦略を練りましょう。
法務関連の対応:
独立するにあたり、契約書の作成や法的な手続きに対応する能力が必要です。顧客との契約やトラブルの際には、法的な知識を持ちながらプロフェッショナルに対応することが大切です。
経営スキルの習得:
独立するとなると、不動産業務だけでなく、経営全般のスキルも必要になります。予算管理、スタッフの指導、効率的な業務運営など、経営スキルを磨くことで独立事業を成功させることができます。
これらの要素を考慮し、事前の準備と計画をしっかりと立てることが、売買仲介で独立を果たすために重要です。独立後も継続的に努力し、地道な努力と情熱を持ちながら事業を展開することが成功への道です。
売買仲介の転職サポート
売買仲介営業として転職する場合に、自分の力で良い企業を探して転職する事も当然できますが、どうしても日頃の忙しい日々の中で時間が取れない事も多いです。
その場合、エージェントを活用すると転職活動も円滑に進みます。転職エージェントは無料で利用できます。転職先の企業から紹介料が転職エージェントに支払われる仕組みになっています。転職エージェントが求人を募集している企業をピックアップしてくれます。
希望に合う求人があればその会社で面接を受けます。その後の給与交渉もエージェントが代行して行うため、精神的な負担も少なくて済みます。また、お断りしたい場合も代行して断りの連絡を入れてくれます。
転職に際して手間となる要素をできるだけ省きつつ、効率的に良い求人とめぐり合わせてくれる機能が転職エージェントにはあります。
いくつか、大手の転職エージェントサービスがありますが、当社は特に不動産業界に特化した転職エージェントサービスを提供しています。
また、不動産業界特化型の転職エージェントサービスは当社以外にもいくつかありますが、当社の場合は他社と異なり転職エージェントサービスだけを行っているわけではなく不動産業界全体に深く絡むサービスを提供している点が他社と異なります。
当社は不動産仲介事業、不動産リノベーション事業も別途社内で事業として行っています。そのため、社内に不動産業界に精通した社員が多くいます。特に未経験の方には業務内容に不安を抱える方も多くいるためこのような業界に精通したスタッフが多くいる場合は心強いアドバイザーとなります。